あなたに花をあげましょう。
枯れない花をあげましょう。
いつまでもいつまでも傍にいてほしいから。



あなたに愛と言う名の花をあげましょう。












『ねぇ、あんた…どっから来たの?』

『北の地だ』

『ふーん。でも、なんでこんなトコに居るわけ?』

『さぁな』

『……食えない人だよ』

『てめぇもな』




会話は飄々と、そして淡々と続けられている。
ただ、会話とは裏腹に…二人の手には凶器が握られていた。
一方は、左に握り締めた刀。
一方は、両手に対成した手裏剣。
じわりじわりと相手を追い詰め、相手を伺う。
互いに敵同士だと言うことは確か。しかし、何処の手の者かは明らかにしない。知られてしまえば自軍に付け入る口実を与えてしまう、身分を知られてしまえば捕らえられてしまう……何をされるか分からない、判らない、解らない。


互いの顔を見ても知らぬもの同士。



『だったら、あんたの口を割らせるまでだよ!!』

『やれるものなら……やってみやがれ!!』





互いの凶器が、鋭い色を放ちながら空を切る。
耳障りな音を立てながら刃が火花を散らす、刃を挟んで二人は対峙する。
互いに不適な笑みを浮かべ斬り掛かり、挑む。





***




佐助と小十郎の『始まり』だった日の事を思い出していた。
閨で二人。
互いを腕に抱き昔を思い出す。


「結構、殺伐だよね〜」

「……今だから言えるんだろうが」

「そうそう。だけど……あんなのゴメンだよ」

「出来ればな」

「出来ればね〜」



小十郎を上から覗き込んだ佐助は、零れ落ちる髪を軽く掻き上げながらその額に、左頬の傷に、艶づいた唇に己のそれで優しく掠めるだけの口づけを施していく。



「俺様と言う花が居るんだから…片倉さん、大切にしてよ」

「佐助にも…俺と言う花があるだろう…」


そう言った小十郎は、その言葉に不意を付かれ驚いている佐助の身体を褥へと組み敷くのだった。




花/20080129




色事めいてますが、これが限界です・・・苦笑。